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Acroquest Technology株式会社のエンジニアが書く技術ブログ

NotebookLMでドキュメントベースのAIアシスタントを手軽に試してみた

はじめに

台風も過ぎ、少しずつ夏へ向けて暑さが増してくる中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
そろそろ仕事にも慣れてきた新人エンジニアの木介です。
今回は先日Googleより発表のあった簡単にドキュメントベースのAIアシスタントが使えるNotebookLMの紹介をしていきます。

NotebookLMとは?

まずNotebookLMとはGoogleが試験的に提供を開始した、個別にカスタマイズが可能なAI調査アシスタントです。
notebooklm.google

具体的なサービス内容としては、ドキュメントをアップロードすると、その情報を元にした回答、要約を行うAIアシスタントが利用できます。
こちらのサービス自体は2023年7月には英語版のみで提供が開始されていましたが、2024年6月6日より、日本語でもサポートが開始されました。

こちらのGoogleの公式ブログより、NotebookLMの特徴として以下の4点が上げられていました。
blog.google


1 ソースに基づいた回答と引用元の表示

  • ユーザーがアップロードしたドキュメントだけを情報源として回答と要約を行える
  • 回答の引用元を表示することが出来る

2 回答するLLMエンジンとしてGemini 1.5 Proが利用されている

  • マルチモーダルな入力が可能で、テキスト以外にも画像の要約も可能

3 様々なファイル形式に対応

  • 現状ではGoogleドキュメント、Googleスライド、PDF、テキスト、Webサイトが対応

4 データのプライバシー保護

  • アップロードされたドキュメントはNotebookLMの学習に使用されない
  • ※ただし、トラブルシューティングやフィードバックの際に人間のレビュワーがクエリ等の確認をするので見られたくない情報は送信しないようにと注意がされている

特にLLMエンジンとしてGemini 1.5 Pro が利用できるのは性能としてもかなり期待できます。
またWebサイトをソースとして入力出来るのも使い勝手がよさそうです。

使い方

必要なものはGoogleアカウントのみであり、無料で扱うことが出来ます
(現在は試験運用のため、将来的に有料になる可能性があります)

まずコチラにアクセスし、Try NotebookLMをクリック。
notebooklm.google

するとノートブックが表示された画面になります。

NotebookLMでは調査したいソースごとにノートブックを作ることで、様々な調査の管理が可能となっています。
では「新しいノートブック」でノートブックを作成しましょう。

作成したノートブックの画面です
こちら、左のソースの+をクリックすることで新しいソースをアップロードすることが出来ます。

現在選択できるのは以下の5点となっています。
GoogleドライブからはGoogleスライドとGoogleドキュメントが選択可能でした。

ではまずは、Google Japan公式blogよりNotebookLMの紹介があったので、そちらをソースとして試してみたいと思います。
blog.google

紹介ブログのアップロード方法としては、まず右上にあるソースの+ボタンをクリックすると以下のような画面が表示されます。
この内のウェブサイトをクリックします。

以下のような入力フォームが表示されます。
ここにブログのURLを貼り付けて挿入をクリックすることでNotebookLMのソースとしてアップロード出来ます。


ブログをアップロードすると以下のようにブログの概要と様々な質問のサジェストが生成されました。
では、次に実際にソースを元にした回答が出来るか質問をしてみましょう。
下部にある入力フォームから質問を入力すると回答を生成できます。



試しに「NotebookLMについて教えて」と入力してみると以下のような回答が得られました。
ブログから回答を生成出来ていそうです。



では実際に、ブログの中身から回答が生成されているか確認するために引用元を確認してみましょう。
引用元の確認は各文章の右側にある番号をクリックすることで表示できます。

コチラの一文についての引用元を確認してみます。



左ページに引用箇所がハイライト表示されました。
上記の一文はブログ記事の引用部分を元に回答出来ていることが確認できます。



このように引用元を確認できると生成された回答の信憑性の検証が出来るので非常に便利です。

その他にNotebookLMではメモとして、ソースからの回答や要約をまとめておく機能があります。
このメモは自分で記入する他にも、ノートブックガイドからの生成で選べるFAQやStudy Guide等でも生成することが出来ます。

やり方としては、右下のノートブックガイドをクリックすると以下のような画面が表示されます。
生成の欄にあるFAQやSturdy Guideを選択することでそれぞれのフォーマットでの要約が生成できます。

例としてFAQを選択すると以下のようにFAQ形式でブログの要約をしてくれました。

調査したいソースに対するキャッチアップに便利そうです。



以上がNotebookLMの大まかな使い方となります。

日本語能力の検証

さて、まずこういったLLMサービスにおいて気になるのは、日本語をどれだけ扱えるのかといった点ではないでしょうか?

今回はNotebookLMの日本語能力を検証するために厚生労働省より発行されている労働条件ハンドブックの日本語版英語版ソースをそれぞれ別のノートブックにアップロードして回答の比較を行ってみようと思います。

以下が行った質問と、それに対する英語版、日本語版双方の回答の比較です。

【質問】


【英語版】


【日本語版】


エンジンとしてGemini 1.5 Proを用いているため、ソースが英語でも日本語でも同様の結果が得られるようです。
また、引用元についても、正しい箇所を見ているようでした。

結論としては、NotebookLMでは日本語、英語の双方のソースに対して同程度の回答能力があることが分かりました。
NotebookLMを用いることで、様々な言語のドキュメントの調査が捗りそうです。

コードを生成出来るか試してみる

では次に私たちがアップロードしたドキュメントを元にして、コードの生成が可能かどうかの検証を行いたいと思います。
検証としてはmatplotlibのboxplotのドキュメントをソースとして与え、そこからコードを生成出来ているかを確認します。
matplotlib.org

指示した内容としては以下になります。

【指示内容】


以下が得られた結果になります。
残念ながらMatplotlibのboxplotのドキュメントをソースとして渡したのみではコードの生成まではできませんでした。

【回答結果】


次に先ほどのmatplotlibのboxplotのドキュメントに加えて、boxplotのサンプルコード付きのドキュメントもソースとして加えてみて同様の質問をしてみます。
matplotlib.org


【回答結果】


サンプルコードがあるドキュメントを追加してもコードの生成まではできませんでした。

結論としては今回試した限りではドキュメントからのコード生成は行うことが出来ませんでしたが、上述した通りドキュメントベースの要約性能は十分にあるので、文献の調査などでは活用できそうです。

まとめ

簡単にドキュメントベースのAI調査アシスタントが利用できるNotebookLMを使用してみました。
ドキュメントへの質問や要約が簡単に行え、文献調査などに役立ちそうなサービスとなっていました。
現在はEXPERIMENTALで無料で扱えますので是非皆さんも利用してみてください。



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