こんにちは、阪本です。
Apache FlinkでCEP(Complex Event Processing)の実現方法について、前回は時刻とグルーピングについて説明しました。
今回は、イベントのパターン定義を見てみましょう。これで、簡単なイベント処理ができるようになります。
パターンを定義する
ここでは、「15秒以内に温度が30℃を2回以上超える」を表すパターンを定義します。
パターンは、CEPクラスのpatternメソッドで次のように定義します。
なお、keyedStreamは、前回作成したKeyedStream<Map<String, Object>, String>
型のストリームです。
PatternStream<Map<String, Object>> patternStream = CEP.pattern(keyedStream, Pattern.<Map<String, Object>> begin("first") .where(value -> value.get("temperature") > 30) .followedBy("second") .where(value -> value.get("temperature") > 30) .within(Time.seconds(15)));
条件指定に使用する代表的なメソッドを紹介します。
メソッド | 意味 |
---|---|
begin(ラベル) | 処理条件の開始を表すラベル定義です。ラベルの値は任意です。必ずbeginから始まります。 |
where(条件式) | ラベル定義に紐づくイベントの条件を指定します。 |
next(ラベル) | 1つ前のラベル定義にマッチするイベントのすぐ次のイベントを表すラベル定義です。ラベルの値は任意です。 |
followedBy(ラベル) | 1つ前のラベル定義にマッチするイベントから、そのイベントの後ろに続くイベントを表すラベル定義です。nextと異なり、間に別のイベントが入ることを許します。ラベルの値は任意です。 |
within(時間) | イベントの時間間隔の制約です。 |
もう少し詳しく見ていきましょう。
beginメソッドで、最初の条件を指定しています。value変数(Map型)のtemperatureの値が30を超えたイベントが来た場合、そのイベントに「first」というラベルを付与します。
begin("first").where(value -> value.get("temperature") > 30)
次に、「first」というラベルが付与されたイベントに続くイベントの中で、value変数(Map型)のtemperatureの値が30を超えたイベントが来た場合、そのイベントに「second」というラベルを付与します。
.followedBy("second").where(value -> value.get("temperature") > 30)
最後に、「first」のイベントと「second」のイベントの発生間隔が15秒以内であることを定義します。
.within(Time.seconds(15)));
この定義では、次のようなイベントがマッチします。
{"timestamp": "2017-05-10T10:00:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 29.3} {"timestamp": "2017-05-10T10:01:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 30.1} {"timestamp": "2017-05-10T10:02:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 31.5} {"timestamp": "2017-05-10T10:03:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 29.8} {"timestamp": "2017-05-10T10:04:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 29.7}
{"timestamp": "2017-05-10T10:00:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 29.3} {"timestamp": "2017-05-10T10:01:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 30.1} {"timestamp": "2017-05-10T10:02:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 29.5} {"timestamp": "2017-05-10T10:03:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 29.8} {"timestamp": "2017-05-10T10:04:00Z", "sensorId": 1, "temperature": 30.7}
なお、「first」や「second」といったラベルは、次に説明する、条件にマッチしたイベントを取得する際に使用します。
条件にマッチしたイベントを取得する
先ほど、パターンを定義して、条件にマッチするイベントにラベルを付与しました。
イベントの取得には、ラベルを使用します。
次のコードでは、「second」のラベルが付与されたイベントをストリームとして取得します。
DataStream<Map<String, Object>> alertStream = patternStream.select(pattern -> pattern.get("second"));
取得したイベントは通常のストリームなので、そのままSinkに流し込むことができます。
alertStream.addSink(new ElasticsearchSink<>(elasticsearchConfig, transports, new MyElasticsearchSinkFunction<>()));
上記では、ラベルが付与されたイベントはまとめて取得することもできます。
class Alert { public final Integer first; public final Integer second; public Alert(Integer first, Integer second) { this.first = first; this.second = second; } } DataStream<Alert> alertStream = patternStream.select( pattern -> new Alert(pattern.get("first"), pattern.get("second")));
つなげる
今まで説明してきた内容をつなげたコードは、次の通りです。
// 動作設定 StreamExecutionEnvironment env = StreamExecutionEnvironment.getExecutionEnvironment(); env.enableCheckpointing(5000L); env.setParallelism(2); env.setStreamTimeCharacteristic(TimeCharacteristic.ProcessingTime); // Kafkaから受け取った文字列をJSON解析する Properties kafkaProps = new Properties(); kafkaProps.setProperty("bootstrap.servers", "192.168.0.1"); kafkaProps.setProperty("group.id", "test"); DataStream<String> stream = env.addSource(new FlinkKafkaConsumer010<>( "topic", new SimpleStringSchema(), kafkaProps)); // Watermarkを付与する stream.assignTimestampsAndWatermarks(new IngestionTimeExtractor<>()); // sensorId毎にグルーピングする KeyedStream<Map<String, Object>, String> keyedStream = stream.map(FlinkExecutor::parseJson) .keyBy(value -> value.get("sensorId")); // 条件を定義する PatternStream<Map<String, Object>> patternStream = CEP.pattern(keyedStream, Pattern.<Map<String, Object>> begin("first") .where(value -> value.get("temperature") > 30) .followedBy("second") .where(value -> value.get("temperature") > 30) .within(Time.seconds(15))); // 条件にマッチするイベントストリームを作成する DataStream<Map<String, Object>> alertStream = patternStream.select(pattern -> pattern.get("second")); // イベントを保存する alertStream.addSink(new ElasticsearchSink<>(elasticsearchConfig, transports, new MyElasticsearchSinkFunction<>()));
まとめ
Flinkで簡単なCEPについて見てきました。
当然ではありますが、条件でマッチしたイベントをストリームで取得できるのが便利ですね!
イベントのパターンに指定できる条件は他にもありますので、より複雑なイベントの条件指定が可能です。
ぜひ触ってみてください。
それでは。
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