Taste of Tech Topics

Acroquest Technology株式会社のエンジニアが書く技術ブログ

Amazon Bedrock の Titan Image Generator で背景差し替え

はじめに

こんにちは。パリ五輪はバドミントン混合ダブルスの熱いラリーに見入ってしまいました、コバタカです。

ECサイトやカタログなど、商品の画像が必要になる場面は多々ありますが、スタジオで撮影しようとするとコストが嵩んでしまいます。
そんな時に活用できるのが、Amazon Bedrockで提供されているTitan Image Generatorというモデルです。
docs.aws.amazon.com
先日、このモデルの新しいバージョンであるTitan Image Generator G1 v2が発表されており、本記事でもこちらを使用していきます。
aws.amazon.com

このモデルには既存の画像の背景を差し替える機能があり、シンプルな製品の画像さえあれば、簡単に背景を整えた画像が用意できてしまいます。
今回はこの背景を差し替える機能について詳しく見ていきたいと思います。

概要

Titan Image Generatorは画像生成ができるAmazonオリジナルのモデルです。
プロンプトから画像生成するほか、今回紹介する背景の差し替え機能、物体の削除機能などが提供されています。
画像生成についての概要は、過去の記事で紹介していますので、是非こちらを参考にしてください。
acro-engineer.hatenablog.com

背景の差し替え方法

Amazon Bedrockのプレイグラウンドのイメージにて、Titan Image Generator G1 v2のモデルを選択すると以下のような画面が出ます。
まずは背景を差し替えたい画像をアップロードしましょう。
今回はシンプルなワインボトルの画像を利用します。
使うのは背景が無い画像ですが、あっても問題ありません。
何を残すか指定すれば、それ以外を背景として消してくれます。

画像をアップロードする

次に、背景差し替え用の設定をしていきます。

背景差し替えの設定・プロンプトを用意する

まず、画面右上(①)のActionからReplace backgroundに選択します。
続いて、その下のMask Tools(②)で背景を描く範囲か、背景に置くオブジェクトを設定します。
今回はオブジェクトを選択する方法で設定します。
この場合、プロンプトで画像の中のどのオブジェクトに対して背景を設定するのかを選択します。
今回の場合はワインボトルを描きたいので、"bottle" としておきます。

最後に描きたい背景についてのプロンプトを画面下(③)に入れて、「実行」を選択します。
すると、背景が描かれた画像が生成されることが分かります。

プロンプト通り、キッチンが周囲に描かれている

背景生成の精度は?

さて、ここで気になるのはどの程度の精度で背景が生成できるのか、というところです。
試してみたところ、ターゲットとなる物を変えたり、様々なシーンを描くためにプロンプトを変えても、概ね期待通りの背景が描けていました。
具体的に見ていきましょう。

物のバリエーション

前章の例ではワインボトルの背景を描きましたが、他の物の背景も描けるのかを確認してみました。
ターゲットとしたのは電子レンジ、ソファです。

電子レンジをキッチンに置いた画像
ソファをリビングに置いた画像

いずれも指示通りの場所が描かれていることが分かります。

背景のバリエーション

続いて、背景を変えるためにプロンプトを色々と試してみました。
ソファの置き場所を変えてみたいと思います。

図書館を背景にした画像
プールサイドを背景にした画像

負のプロンプト

ここまでは様々なパターンを試してみましたが、時には背景に使いたくない物が出てくることもあります。
その時に使えるのが、「負のプロンプト」の設定です。
背景に入れたくない物や特徴を記述しておくことで、それらを除いてくれる機能です。
例えば、先ほどの電子レンジの背景が白黒だけの色合いにならないように、負のプロンプトに"monochrome"と入れてみましょう。

背景がカラフルになりました

ご覧の通り、よりカラフルな色合いの背景になりました。
ただし、この負のプロンプトで細かなものを削除したい時には少し工夫が必要です。
例として、以下のワインボトルの画像にダイニングテーブルに置いてあるような背景をつける場合を考えます。

ダイニングテーブルの上のワインボトル

ここで隣のジュースの入ったグラスを消すことを考えますが、glassだけではグラスは消えずに残ってしまいます。

glassだけではグラスは消えない

そのような時は、消したい物に関連するワードをカンマ区切りで複数並べると消えやすくなります。
今回の場合、以下のようにglass, glasses, cup, drink, juice, dish, dishesと食器や飲み物に関連するワードを並べることで食器のない背景となりました。
このように、期待通りに背景から除去するには並べるワードを少し工夫する必要があります。

関連語を並べる

まとめ

ここまでTitan Image Generatorで画像の背景差し替え機能を見てきました。
多少工夫が必要な箇所はあれど、全体的に期待通りの背景が生成できており、スタジオなどの撮影がなくとも、自分の思い通りの画像が作成できるため、とても便利です。
この機能を駆使すれば、お手軽に商品写真などを用意できて、コストカットにつながるかもしれません。

Acroquest Technologyでは、キャリア採用を行っています。

  • Azure OpenAI/Amazon Bedrock等を使った生成AIソリューションの開発
  • ディープラーニング等を使った自然言語/画像/音声/動画解析の研究開発
  • マイクロサービス、DevOps、最新のOSSクラウドサービスを利用する開発プロジェクト
  • 書籍・雑誌等の執筆や、社内外での技術の発信・共有によるエンジニアとしての成長

少しでも上記に興味を持たれた方は、是非以下のページをご覧ください。

www.wantedly.com