Taste of Tech Topics

Acroquest Technology株式会社のエンジニアが書く技術ブログ

AWS CodeBuildでKarateを動かし、E2E/UIテストを自動化しよう

こんにちは、DevOpsエンジニアとして活動している横山です。

以前、本ブログ内で「KarateのDockerイメージを使用して、UIテストを自動化してみた - Taste of Tech Topics」を紹介しました。
今回は、E2Eテストを行う「Karate」をAWS上で実行し、テストを自動化する方法を紹介します。

クラウド上でKarateを実行することで、次のメリットが生まれます。

  • チーム全体でテスト結果を共有でき、修正が行いやすくなる
  • Gitへのプッシュをトリガーにテストを実行でき、問題に早く気づけるようになる

また、今回CodeBuildの実行環境として、AWSにより管理されているマネージド型Dockerイメージではなく、
カスタムDockerイメージを使用しましたが、その際の注意点も合わせて紹介します。

概要

本記事では、以下の内容について説明を行います。

  • AWS CodeBuildを用いたKarateの実行
  • Kareteのレポートを確認できるようにS3にアップロード
  • CodeBuildの実行環境としてカスタムDockerイメージを使用する際の注意点

Karate実行結果として以下のような結果がチーム全体で見られるようになります。
f:id:acro-yokoyama:20220225214142p:plain:w800
f:id:acro-yokoyama:20220225214152p:plain:w800

前提

Karateの詳細については、以下を参照ください。
qiita.com

全体構成

f:id:acro-yokoyama:20220213232615p:plain:w500

パイプラインの構築・実行

設定内容の流れとしては以下のようになります。

  1. buildspec.yml、Karateソースコードの準備
  2. CodeBuildの設定
  3. サービスロールの設定
  4. CodeBuild実行
  5. 結果確認

それでは、詳細です。

1. buildspec.yml、Karateソースコードの準備
以下のようなディレクトリ構成でKarate実行に必要なファイルをAWS CodeCommitにプッシュします。

karate-sample
├─ buildspec.yml  ・・・CodeBuildの定義ファイル
└─ src
    └─ test
        └─ ui
            └─ karate-git.feature  ・・・UIテストのシナリオファイル

buildspec.ymlの内容は以下になります。

version: 0.2
env:
  variables:
    # レポート配置用に作成したバケット名を指定
    REPORT_S3_BUCKET: karate-sample-bucket
phases:
  pre_build:
    commands:
      # 元のDockerイメージのENTRYPOINTで実行される想定だった処理を実行
      - echo Start Chrome
      - nohup /entrypoint.sh & # ★1
      # Karate実行ファイルをダウンロード
      - echo Download karate.jar
      - mkdir -p lib
      - curl -L -o ./lib/karate.jar https://github.com/karatelabs/karate/releases/download/v${KARATE_VERSION}/karate-${KARATE_VERSION}.jar
      # S3へのアップロードのために、AWS CLIをインストール
      - echo Install AWS CLI ...
      - curl "https://awscli.amazonaws.com/awscli-exe-linux-x86_64.zip" -o "awscliv2.zip"
      - unzip awscliv2.zip
      - ./aws/install --bin-dir /usr/local/bin --install-dir /usr/local/aws-cli --update
  build:
    commands:
      # MavenによるKarateテスト実行
      - echo Karate Test...
      - java -jar lib/karate.jar -f cucumber:json src/test
  post_build:
    commands:
      # S3にレポートをアップロード
      - echo Uploading Karate results...
      - aws s3 sync ./target/karate-reports s3://${REPORT_S3_BUCKET}/karate/karate-reports --no-progress --delete

<注意点>
CodeBuildの環境イメージとして、AWSのマネージド型イメージではなく、カスタムイメージを使用する際、ENTRYPOINTはオーバーライドされるようです。
CodeBuild のDocker サンプル - AWS CodeBuild
今回利用する「ptrthomas/karate-chrome」イメージでは、ENTRYPOINTの処理にてKarate UI実行のために必要なプロセスを実行するため、そのままではKarate UIが実行できません。
そのため、本来ENTRYPOINTで実行したかった処理を、buildspec.ymlのpre_buildで実行するように記述しています。
(buildspec.ymlの★1の部分)

Karateのコードの詳細は割愛しますが、以下のコメントに書いたテストケースを実行します。

  • karate-sample/src/test/ui/karate-git.feature
Feature: GitHubのファイル確認

Background:
  # driver設定
  * configure driver = { type: 'chrome', start:false, headless: true, addOptions: ['--window-size=1920,1080']}

  # UI操作開始
  Given driver 'https://github.com/karatelabs/karate'
  * screenshot()

Scenario: land on the karate github page, and search for a file

  # 「Go to file」をクリックしてファイル一覧に遷移する
  When click('{a}Go to file')
  Then waitForUrl('karate/find/master')

  # 検索エリアに「karate-logo.png」を入力する
  And waitForEnabled("input[name=query]").input('karate-logo.png')
  * delay(500)
  * screenshot()
  
  # 1件以上ヒットすることを検証する
  Then assert locateAll("ul#tree-browser li[role=presentation]") > '#[1]'

2. CodeBuildの設定

AWSコンソールのCodeBuild画面から、「ビルドプロジェクトを作成する」をクリックし、以下のように設定して作成します。
(デフォルトから変更する箇所のみ記載しています。)

<注意点>
実行環境として指定するDockerイメージが、DockerHubなどの公開されているイメージの場合、CodeBuildでのダウンロード制限に引っかかる場合があります。
その場合は、以下を参考にするか、ECRにイメージをプッシュし、ECRから取得(プル)する設定にすることで対処可能です。
CodeBuild の「イメージ設定のプルエラー: toomanyrequests」エラーを解決する

①CodeBuildのビルドプロジェクト名を入力(任意)
f:id:acro-yokoyama:20220212165226p:plain:w650

②テストコードをプッシュしたリポジトリを指定
f:id:acro-yokoyama:20220212165239p:plain:w650

③CodeBuild上でのKarate実行環境のDockerイメージ、実行時に利用する環境変数、CodeBuildに適用するロールを設定
f:id:acro-yokoyama:20220212165246p:plain:w650
f:id:acro-yokoyama:20220213230959p:plain:w650
f:id:acro-yokoyama:20220212165302p:plain:w650

④CodeBuildで使用するbuildspecファイルを指定
f:id:acro-yokoyama:20220212165312p:plain:w650

⑤CloudWatch Logsへのログ出力設定を指定
f:id:acro-yokoyama:20220212174946p:plain:w650

3. サービスロールの設定

作成されたサービスロールに対し、以下のポリシーを追加します。

  • s3:ListBucket
  • s3:PutObject
  • s3:DeleteObject

※リソースは、レポート配置用のバケットを指定

4. CodeBuild実行
作成したCodeBuildのプロジェクトを開き、「ビルドを開始」から実行できます。

5. 結果確認

CodeBuildでビルドを実行すると、Karateテスト実行後に、レポートファイルがS3の指定のバケットにアップロードされます。
Karateレポート出力用のバケットの中の、以下のファイルをブラウザで開くことで、キャプチャも含めたレポートを確認することができます。

  • karate/karate-reports/karate-summary.html

f:id:acro-yokoyama:20220225214142p:plain:w800
f:id:acro-yokoyama:20220225214152p:plain:w800

まとめ

今回は、AWS CodeBuildを用いたUIテストを含んだKarate実行と、S3へのレポートファイルのアップロードについて説明しました。
これにより以下のようなメリットが得られます。

  • Karateを利用することで、ユースケースを意識したシナリオテストを実施しやすい
  • E2Eテストを自動化することで、リグレッションテストの手間を大幅に削減でき、変更の影響の検知を素早く行える
  • 画面キャプチャもレポートに組み込むことができ、テストの結果やエラーの内容をすぐに確認可能

チームの中で、テスト実行を継続して実行することで、
リリースサイクルが高速化する中でも、品質向上につながると思いますので、参考にしていただけたらと思います。

それでは。

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